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法制審議会 刑事法(性犯罪)部会 御中

当事者の声を反映した刑法改正を求める要望書
 
委員の皆様には、性犯罪の規定の改正に関する真摯な議論を続けていただき、大変ありがとうございます。私たちは被害当事者、支援者、弁護士、研究者など様々な立場から性暴力に関する包括的な法整備を求めて活動している全国組織です。

さて、6月の審議会において、刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件、並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正することにかかり、例示列挙事由(例)(①暴行・脅迫、② 心身の障害、③ 睡眠、アルコール・薬物の影響、④ 不意打ち、⑤ 継続的な虐待、⑥ 恐怖・驚愕・困惑、⑦ 重大な不利益の憂慮、⑧ 偽計・欺罔による誤信)が示され、また、包括要件として、A案「次の事由により、その他意思に反して、性交等をした者は、強制性交等の罪 とし、5年以上の有期懲役に処するものとする」、B案「次の事由その他の事由により、拒絶する意思を形成・表明・実現することが 困難であることに乗じて、性交等をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上 の有期懲役に処するものとする」という叩き台の案が提示され、議論されたことを議事録から知りました。

私たちネットワークには、性暴力被害当事者から、自分のような被害の場合に今回の改正によって、加害者が適切に処分されるようになるのか、自分と同様の被害実態を理解した上で改正の議論が進められているのかなどを心配する声が寄せられています。そこで、今回はご自身の被害体験や後遺症の実態を明らかにして、刑法改正の議論に反映してほしいと希望される事例に基づいて要望いたします。当事者の声を反映した刑法改正の実現を重ねてお願いいたします。

●被害体験や後遺症の実態
Aさんは、現在、33歳である。本人の記憶にある限り、4歳から性的、身体的、精神的、ネグレクトなどの虐待を受けてきた。その結果として、おそらく4歳の頃から別の人格が出現し、現在では100人以上の人格を有する「解離性同一性障害」の状態にある。これは一般に「多重人格」と呼ばれる精神疾患で、自分ではコントロールできないままに種々の人格が入れ替わってしまうものである。Aさんは、18歳の時に実家を出ようとしたが、未成年であることの法的な壁や支援者による裏切りなどもあり、結局実家に戻らざるを得なかった。その後も、実父による性的虐待が継続したが、警察に被害届を受理してもらえない状況である。

1. 個別要件の「継続した虐待」には、30代以上の被害者のケースも含めてほしい。

Aさんは、幼少期からの性的虐待の影響もあり、父親が近づいてくるだけでも、フリーズしたり、迎合したりしてしまい、性被害を拒絶することはできない状況だった。30代になっても虐待が継続している場合に、「継続した虐待」と判断され、「拒絶する意思を形成」することが困難な状況と判断されるのか。「継続した虐待」は10代もしくは20代前半であれば「拒絶する意思の形成」は困難かもしれないが、30歳を超えていれば「拒絶する意思」を形成することが可能と判断されてしまうことが懸念される。

2. 「心身の障害」には、解離性同一性障害も含めて、きちんと処罰できるようにしてほしい。

幼少期からの性的虐待の影響で解離性同一性障害になっている場合に、主人格が被害を記憶していないこともある。記憶している別人格が証言した場合に、その証拠能力はどのように判断するのか、などということで実際に警察において被害届を受理しない可能性も高い。「心身の障害」という個別要件に解離性同一性障害を想定して、被害者が加害者の処罰を求める場合に、きちんと対応されるようにしてほしい。

3. 性交同意年齢を16歳以上に引き上げる必要がある。

Aさんは、14歳で妊娠・中絶手術を受けたが、十分な性教育を受ける機会がなかったため、性虐待と妊娠の関係もわかっていなかった。結果的に中絶手術を受けることになり、大きな罪悪感を抱えてしまい、それがトラウマになってしまった。Aさんが、性行為や妊娠・出産などについてある程度の知識を提供される性教育を受けられたのは高校生以降であった。いわゆる性交同意年齢を14歳までしか引き上げなければ、依然として中学生が十分な知識も与えられないまま性暴力被害から守られないという状況が続くのではないか。

4. 公訴時効の撤廃を求める

Aさんは実父以外からも性被害にあっている。アルバイト先の店長からレイプドラッグを入れられた被害にあった際には、すぐに警察に届けることは考えられず、回避や解離の症状もあって、被害を警察に届けようと考えたのは、被害から10年経過していた時期であった。このような被害者の心理状態を考慮すれば、公訴時効の撤廃が必要である。   


なお、Aさんの刑法改正に向けたメッセージの動画や当ネットワークが開催した公開講座の動画も是非参考に見ていただければと思います。以下にURLをお知らせいたします。
刑法改正市民プロジェクト 作成 「当事者の声」真野あやみさん

第一弾「同意のない性行為を処罰できるようにしてください」
https://www.youtube.com/watch?v=4b-Q8YCBoNo&t=30s
第二弾「公訴時効を撤廃してください」
https://www.youtube.com/watch?v=cDLAXG6bOcw
第三弾「性的同意年齢を16歳に」
https://www.youtube.com/watch?v=IqeYgkWmb7Y


以上


性暴力禁止法をつくろうネットワーク
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【2022/07/29 23:32】 | 声明・提言
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公開講演会を開催しました。(ZOOMでのオンライン開催)

日時:2022年7月2日(土)13:00~15:00
テーマ:「当事者の声を反映した刑法改正を」
講師:中山純子(弁護士)
   真野あやみ(性虐待・性暴力被害当事者)
司会:周藤由美子(性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表)

性的虐待・性暴力被害当事者の真野あやみさんに、自分の体験から、どのような改正が必要なのか話していただきました。そして、法制審議会の議論に詳しい中山純子弁護士に、現在、どのような改正の方向になっているのか解説していただきました。
具体的には「暴行・脅迫」要件に加えて、「継続した虐待」が加わると、虐待を受けていた大人の被害者は対象になるのか。「心身の障害」には「解離性同一性障害(DID)」も想定されているのか、などが問題提起されました。また、「公訴時効の撤廃」「性交同意年齢の引き上げ」についても必要であることがすごくよくわかりました。
参加者との質疑応答も行われ、刑法改正に当事者の声を反映させていくことが大事なので、当事者の声を伝える要望書を提出していこうということになりました。

【2022/07/24 20:28】 | 未分類
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NPO法人しあわせなみだ主催 
刑法性犯罪をUpdate!院内集会 に参加しました。

☆2022年6月9日(木)16:00-17:00
衆議院第一議員会館 地下1階 第2会議室

☆登壇者
*「同意を求めない性犯罪」
 周藤由美子さん(性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表)
 真野あやみさん(性虐待・性暴力被害当事者)
*「同意のない性犯罪とは」
 島岡まなさん(大阪大学副学長・法学研究科教授)
*「同意・不同意の意志を示すことが困難な人々への性犯罪」
 中野宏美さん(NPO法人しあわせなみだ 理事長)

今回は特に、当事者の立場で真野あやみさんが発言され、当事者の声を刑法改正に反映させる必要があることを改めて感じさせられました。

真野あやみさんは2022年7月2日(土)の性暴力禁止法をつくろうネットワーク公開講演会でもお話しいただく予定です。
申込みはこちらからお願いします。

また、ウィメンズアクションネットワーク(WAN)に連続エッセイを連載されています。
「虐待サバイバーとして生き延びた私たち(DID)」是非お読みください。
https://wan.or.jp/article/show/10061

【2022/06/20 22:42】 | 未分類
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2021年2月28日に刑法改正市民プロジェクト主催で
オンライン企画「だれひとり取り残さない刑法改正を
-どうなっている?刑法改正検討会」

が開催されました。

当日見られなかった方もYoutubeで録画がご覧になれます。
以下からどうぞ。拡散にもご協力ください。
https://youtu.be/rpWOWsvRA4c


〇刑法改正市民プロジェクトからの行動提起です。

1.2月末までの緊急署名を開始しました。こちらで、署名ができます。

「不同意性交等罪をつくってください!」 

http://chng.it/YpFVk76FHC

ぜひ、署名を集めてください。



2.また、Twitterデモを行います。

2月 1日 お昼12時開始
2月11日 お昼12時開始
3月 7日 お昼12時開始(検討会の前の日)

統一ハッシュタグ

 #同意のない性交を性犯罪に

をつけて何でもつぶやいてください!

どうぞよろしくお願いします。

【2021/02/01 00:06】 | 未分類
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2018年12月28日

広河隆一氏による性暴力を告発した女性たちに心を寄せ
共に#MeToo運動を広げていくための声明


性暴力禁止法をつくろうネットワーク
共同代表 戒能民江、周藤由美子

「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」は、被害者、支援者、弁護士、研究者など様々な立場から性暴力に関する包括的な法整備を求めて活動している全国組織です。
2017年から世界的に爆発的な盛り上がりを見せた#Metoo運動は、これまで声をあげることが難しかった性暴力被害当事者を確実に勇気づけてきました。そして、2018年も終わろうとする今、週刊文春2019年1月3、10日号に『世界的人権派ジャーナリストの性暴力を告発する 7人の女性が#MeToo』という広河隆一氏についての記事が掲載されました。広河氏は文春の取材に対しては「(女性たちは)僕に魅力を感じたり憧れたりしていた」と自らの加害性を否定しましたが、12月26日付で、株式会社デイズジャパンの代表取締役及び取締役理事とNPO法人沖縄・球美の里名誉理事長の解任について発表しています。私たちは、告発した女性たちを支持し、共に#Metoo運動を広げていくことを以下のように声明します。



1 私たちは、性暴力の事実を告発した女性たちを強く支持します。

加害者の権力を背景に被害者が拒否できない状況で行われる性暴力、セクシュアルハラスメントは、被害者に罪悪感や無力感を与え続け、被害による後遺症は深刻で長期にわたります。多くの被害者が孤立し、自分を責め、声を上げることが困難な状況にあります。そのような状況で、今回の告発を行った女性たちを私たちは強く支持します。そして、このような被害者に対して、被害を信じなかったり、被害者にも責任がある等の二次被害が行われることがないように、彼女たちを擁護する立場に立ちたいと思います。

2 広河隆一氏は自らの権力性や女性に対する人権意識の欠如、性暴力についての認識不足についてしっかりと向き合い、更に真摯な謝罪を行うべきです。

広河氏が役職の解任を報告するコメントにおいて、「(女性たちの)気持ちに気がつくことができず、傷つけたという認識に欠けていました」と述べています。しかし、この言葉はあまりにも表面的で浅薄なものではないでしょうか。広河氏が気がつく必要があったのは、自らが持っていた圧倒的なパワーとそれを濫用していたこと、そして自らに対する女性たちの尊敬や評価は恋愛感情や性的な関係を求めるものとは違うこと、人権派として社会的にも評価されている人間から性暴力という卑劣な人権侵害を受けるという裏切りによる混乱や衝撃の度合い、フォトジャーナリストを目指していた被害者の可能性を根こそぎ奪うようなことをしたことについてきちんと認識し、真摯に謝罪すべきです。

3 セクシュアルハラスメントを禁止し、被害者が安心して告発でき、被害からの回復を支援するための法制度整備が必要です。

彼女たちの今回の告発まで10年以上かかったことは、それだけ性暴力、セクシュアルハラスメントについて声を上げることが難しく、また被害者の告発を受け止める社会の体制が十分に整っていないことがあると考えます。今回も加害者が組織のトップであり、圧倒的な権力を握っている存在であったため、被害者は被害に耐え続けるか、それができなければ辞めざるを得ないという現実がありました。セクシュアルハラスメントは許されないことであるという明確な法規制とともに被害者が安心して告発できる第三者機関が必要です。また、被害者は被害によって人生設計を大きく変えざるを得ず、心身に様々な不調を抱えながら、自力で生活を再建することを余儀なくされます。被害者が回復できるように社会が支援する制度を整えることが求められています。

今回、声を上げた被害女性は、多くの被害当事者に「自分は1人ではない」「声を上げることで何かを変えることができる」という大きなメッセージを与えてくれました。#Metoo運動は、これからも確実に広がり、日本の社会を変えていくことを確信します。

以上