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皆さま

2017年12月11日に警察庁がレイプドラッグへの対応について事務連絡を発出しましたが
それにつながった意見交換会の報告を掲載します。

レイプドラッグを許さない!意見交換会の報告 
2017年11月27日12時~13時5分 @参議院議員会館B106号

62名の参加。国会議員5名:(五十音順)大河原雅子議員(立憲民主)、尾辻かなこ子議員(立憲民主)、神本美恵子議員(民進)、福島瑞穂議員(社民)、もとむら伸子議員(共産)、秘書さんの出席7名。
警察庁、法務省、内閣府、厚生労働省出席。

全国の性暴力救援センター、ワンストップセンターのスタッフ、弁護士、出席議員から質問・要望を出し、意見交換を行いました。

警察庁刑事局捜査第一課理事官 警視正 管潤一郎 氏の回答を質問項目の後にまとめました。(被害者対策については被害者支援室 砂田課長が回答)

出席議員からも質問がありましたが、それは「要望」としています。

「性暴力被害当事者を孤立させない」院内集会実行委員会が11月14日に提出した
「薬物を使った性暴力への適切な対応について」の質問状の項目に沿って以下にまとめます。
太字が質問項目です。


回答:レイプドラッグの定義がないが、一般的には睡眠薬が使用されている。処方薬で自分や家族が処方されたり、ネットで手に入れたりしているようだ。

1 性暴力被害者が、被害を訴えて警察に来られた時、薬物の使用を疑うのはどういう時か、その判断基準があるのでしょうか?判断基準がある場合は、その内容をお示しください。

回答:はっきりしたものはない。例えば「飲食した後、抵抗したが力が入らなかった」「飲食した後、記憶がないが下腹部に痛みがある」などの場合は、薬物使用を疑って対応するように指導している。

要望:・被害者が薬物の使用を疑って検査を希望した場合は対応してほしい。
   ・被害者が直後に薬物の影響が残ってボーっとしている場合もあるので、被害者からの訴えがなくても、積極的に検査など対応してほしい。(直後に周囲が薬物使用を疑って強く働きかけた例もあった)
   ・早く採取してほしい。(最寄りの警察署から管轄の警察署に行き、先に婦人科の証拠採取などの後に尿採取すると遅くなる)

2 薬物の使用が疑われる場合の証拠採取・検査等について、どのように対応するのか手順やルールなどを明文化されたものはありますか。

回答:各都道府県警によって様々であるが、いくつか確認したところ、「科捜研に相談した上で採取するかどうか、血液か尿かなど採取の方法などを指示してもらう」「被害者の同意を得た上で、警察署で尿(30ミリ)を採取。任意で提出、所有権を放棄してもらう」「血液採取が必要な場合は病院で採取(5~10ミリ)してもらい、任意提出、所有権を放棄」などしている。

要望:すべての都道府県警で実施されるようルールが必要では。

① 証拠採取可能な時間は被害後何時間以内と想定されていますか。

回答:薬物の種類や量、被害者の体質や生活習慣などによって証拠採取可能な時間は一定ではないが、数時間から3日前後といわれているので早期の証拠採取が必要である。

② 血液検査、尿検査のどちらかもしくは両方を行うことになっていますか。

回答:尿検査の方が警察署で行えるので尿検査が一般的かもしれないが、科捜研の判断による。

③ 尿検査は警察署内で採取することもありますか。その場合にどういう手順で、なされることになっていますか?その際、被害者本人に対し、どのような説明をして同意を取っていますか。

回答:上記参照

④ 被害者の住所地の警察署など、事件の管轄ではない警察署でも証拠採取行うことはできますか。

回答:どこでも可能である。ただ証拠の取り扱いに当たっては管轄の警察署の方が望ましい。

⑤ 血液採取を行う場合や薬物の影響からの回復過程を一貫して観察・治療・支援するために、地域に病院拠点の救援センターが設置されている場合は、センターがその役割を担うことができますが、病院拠点型の救援センターとの連携の実態はどうなっていますか。

回答:現状では被害者の要望や状況に応じて、病院を紹介したり、警察が付き添ったりしている。


3 薬物の使用が疑われる場合の証拠採取、検査等の費用は国及び都道府県それぞれに予算化されていますか。これまで一般には行われていなかったと考えられるので予算の増額が必要ですが、次年度予算要求ではどの程度増額されていますか。
回答:薬物の検査のために特別な資機材が必要なわけではなく、一連の証拠採取・検査等の費用に含まれている。鑑識の予算は不足していないと考えている。

4 平成29年夏段階においても薬物の使用が疑われる被害者が被害直後に警察に被害を届け出たものの、尿検査等薬物の有無を検査するための証拠採取が行われなかった例がありますが、それは本来のルールを現場の捜査員が知らなかったからでしょうか。事実をご確認ください。

回答:個別の事案についてはお答えできない。だが、指導していきたい。

5 地域に性暴力救援センター・ワンストップ支援センターが設置されている場合に、性犯罪・性暴力の被害者から相談・訴えがあった場合の連絡、連携について、明文化された手順やルールはありますか。また、警察庁として全国の状況を把握していますか。事件化が難しいなど限定された状況の場合のみ地域の性暴力救援センター・ワンストップ支援センターを紹介される例もあると聞きますが、地域によって、そのようなルールはあるのでしょうか。

回答:性暴力被害者ワンストップ支援センターが早期被害者援助団体に指定されている場合は、法律に基づいて情報提供している。それ以外の場合も各都道府県で独自のルールを作って連携していると思われる。事件化が難しい場合だけ紹介するというようなルールはない。


6 大阪府が作成した「被害者の心情に配慮した性暴力の証拠物取扱いマニュアル」の全国の捜査機関での周知および実施状況はどうなっていますか。同マニュアルでは薬物の検査を前提として血液や尿を証拠保管し、後日警察に届けた際に、薬物の有無を立証するための証拠物として採用することになっていますが、これを全国的に実施する予定はありますか。

回答:優れた取り組みは紹介している。

7 警察庁においては、性犯罪被害者が警察へ届け出ずに医療機関を受診した場合、後に警察に届出をするときには身体等に付着した証拠資料が滅失している可能性があることから、医師等が受診時にこれを採取するための資機材を14都道県の医療機関に試行整備した(平成29年版 犯罪被害者白書より)ということですが、その証拠採取の資機材については薬物の検査も前提としていますか。また、試行整備した医療機関において薬物の検査のための血液や尿の採取・保管を実施した例はありますか。

回答:配布しているレイプキットはだ液や精液を検出するための資機材のみで、血液や尿の採取用のものは含まれていない。しかし、医療機関において血液や尿の採取をしてもらった例も数件あった。予算的に増やせないが、血液や尿の採取を求めていくよう指導したい。

8 薬物使用の性暴力被害があることを性犯罪捜査に携わるすべての捜査関係者に周知されていますか。被害者が意識があるように行動していても被害時の記憶が欠落している「薬剤性の健忘」(前向健忘)が起ることがあることを、同様に周知する必要がありますが、されていますか。まだ周知されていなければその予定はありますか。予定がある場合は、具体的にお示しください。

回答:10月から性犯罪の捜査員への研修で周知している。

要望:4や9などの例がないように研修をしてもらいたい。専門の捜査員だけでなく、初動捜査が大事なので、警察署や交番で最初に被害者に接する警察官に基本的な知識を伝えてほしい。

9 薬物の使用が疑われる性暴力被害者が被害を訴えたが、防犯ビデオで被害者がふらつきながらも自分の足で歩いていた場面が写っていたために「薬物を使用されて意識がなくなっていたなら自分の足で歩けたはずはない」「自分の足で歩いて部屋に入っているので同意があったと考えられる」ということで事件化されないと判断された例がありました。これについてのご見解をお示しください。

回答:個別の事案についてはお答えできない。だが、指導していきたい。

10 上記の訴えを行う被害者に対して二次被害を加えないように配慮した対応について、具体的に周知に向けて明文化されたものはありますか。今後、通知等の予定があれば、具体的にお示し下さい。

回答:通達は出しているが、改めて周知徹底したい。

福島瑞穂議員からはレイプドラッグ撲滅大作戦(仮)のようなキャンペーンの呼びかけもありました。
最後に「刑法改正に向けた私たちの活動について(案)」について、附帯決議の実行、法制審議会の開催、法制審への当事者の参画、改正要望の実現を目標に、隔月程度の院内意見交換会の開催が提案されました。
以上
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【2018/01/22 01:03】 | 未分類
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皆さま

ニュース等でも報道されていますが、2017年12月11日に
警察庁がレイプドラッグに関する証拠採取などについての事務連絡を
発出しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171229/k10011274871000.html

「性暴力被害当事者を孤立させない」院内集会実行委員会が、
警察庁などに対し、薬物を使った性暴力への適切な対応を求めて
緊急要望書、質問状の提出、意見交換会の開催などを行ってきた成果といえます。

もし被害にあった場合には、警察は以下のように対応することに
なっていますので、どんどん活用しましょう。

********

原議保存期間1年未満
(平成30年12月10日まで)
事  務  連  絡
平成29年12月11日
警察庁刑事局第一課理事官

警 視 庁 捜 査 第 一 課 長
各都道府県警察本部 刑 事 部 長  殿
各 方 面 本 部 捜 査 課 長
(参考送付先)
警察大学校 刑 事 教 養 部 長
各管区警察広域調整部広域調整第一課長

性犯罪捜査における適切な証拠保全について

性犯罪捜査においては、可能な限り早期に、必要な証拠を保全することが重要であるが、先般の改正刑法の施行等を受け、性犯罪に対して厳正な対処を求める国民の関心が高まってることを踏まえ、各都道府県警察においては、下記のとおり、改めて、性犯罪捜査における適切な証拠保全に留意されたい。

        記

1 薬物の使用が疑われる性犯罪への対応

(1) 性犯罪に使用される薬物による影響等

薬物の使用が疑われる性犯罪に対する社会的な関心が高まっているが、この種事件に関するこれまでの検挙事例をみると、医師から処方される睡眠導入剤等、合法的に入手できる薬物が犯行に使用されるケースが散見される。薬物によっては、摂取後、数時間から数日間で体外に排出されることから、薬物の使用が疑われる被害申告を受理した場合には、速やかな証拠保全が求められる。また、アルコールの影響だけでなく、薬物の影響により、被害者が意識があるように行動していても被害時の記憶が欠落している場合もあることから、被害者からの聴取に当たっては、こうした「薬剤性の健忘症状」にも十分留意する必要がある。

(2) 速やかな採尿等の実施

 被害者からの聴取や被害前後の状況から薬物の使用が疑われる場合には、被害者の同意を得た上で、速やかに採尿や採血を実施し、鑑定に付すること。 
 なお、被害者が被害の届出を躊躇している段階であっても、被害者の申立て内容等から薬物の使用が疑われる場合には、採尿等の実施について検討すること。

(3) 指導教養の実施

 性犯罪は、休日や夜間帯に認知する場合もあり、性犯罪捜査を担当する捜査員のみならず、警察職員の誰もが被害者の事情聴取等に当たる可能性があることから、適切に対応することができるよう、薬物の使用が疑われる性犯罪に関する知識を含め、部門を問わず、全職員に対し、あらゆる機会を活用して、改めて広く指導教養を実施すること。

2 医療機関における性犯罪証拠採取キットの整備推進

   現在、「医療機関における性犯罪証拠採取キットの試行整備について」(平成28年7月28日付け警察庁捜一発第124号ほか)に基づき、14都道県において、協力の得られる医療機関等に対し、性犯罪証拠採取キットの試行整備を実施しているところであるが、同取組は、被害の潜在化防止に一定の有効性があると認められることから、各都道府県警察においては、各地域の実情に応じ、医療機関、知事部局及びワンストップ支援センター等の関係機関と調整を図るなどして、整備に向けた準備や検討を進めること。
なお、整備に当たっては、被疑者由来の精液、だ液等だけでなく、薬物を使用された疑いのある被害者からの採尿等の適切な実施にも配意するなど、効率的かつ的確な証拠保全ができるよう必要な検討をすること。

【本件担当】
警察庁刑事局捜査第一課
強行犯係 山本警視など

皆さま

2017年9月29日に「被害当事者を孤立させない」院内集会が開催され
200名以上の参加がありました。

当日は検察審査会で準強姦について不起訴相当という信じられない判断が下された詩織さんや
代理人弁護士、警察でのすさまじい二次被害を告発された被害当事者、
東京や大阪の性暴力救援センターで相談に携わっている支援者、
刑法性犯罪改正にもご尽力された角田由紀子弁護士などが発言されました。
(詩織さんの発言の後の拍手はしばらく鳴りやみませんでした)。

この日に、集会実行委員会として警察に緊急の要望書を提出することが提案されました。

これは被害者や性暴力救援センター、ワンストップ支援センターなど相談にあたっている支援者にとって本当に切実な問題なのです。

是非、この問題に広く関心を持っていただくためにも、情報を拡散してください。

以下が要望書です。

******

警察庁長官 坂口 正芳 様
 
    「性暴力被害当事者を孤立させない」院内集会実行委員会

 薬物を使った性暴力への適切な対応を求める緊急要望書
                              


日頃より男女平等推進にかかわる諸問題について御尽力をいただき、
心より感謝申し上げます。
私たちは女性や子どもたちへの暴力を根絶する法制度整備を
当事者の声を反映させて進めることを求めて、
実行委員会を立ち上げ院内集会を重ねてまいりました。

6月の国会では110年ぶりの刑法性犯罪の大幅な改正が成立しました。
しかし、「暴行・脅迫」要件が残されたままであるなど、
3年後の改正に向けて更なる検討が必要です。
さらに附帯決議にあるように、性犯罪に係る刑事事件の捜査及び
公判の過程において、二次被害を防止し、適切に証拠を保全することは、
すぐにでも実現されなければなりません。

全国の性暴力救援センター、ワンストップ支援センターなどには、
「飲食物に薬物を入れられ意識を失い、
気がついた時には加害者からレイプされていた」という
薬物を使った性暴力(レイプドラッグの使用)を疑われる相談事例が
多数寄せられています。

その中には、被害直後に警察や病院に行き、
薬物の検査を申し入れたにも関わらず、拒否されたという例もあります。
また、情報提供が不十分であったために、
薬物の検査を早期に行うことができず、
薬物の検出ができなかった事例も少なくありません。

「薬剤性の健忘」(一過性前向健忘)と言われる状態が知られていない
ため、防犯ビデオの映像では自分の足で歩いてホテルに入っているが、
その時の記憶が全くない事例が、合意の上の性行為であったと判断され、
事件化されないことも大きな問題です。

そこで、薬物を使った性暴力事件について、悪質な加害者を適正に処罰し、
被害者を救済するため、性犯罪の初動捜査におけるルール作り及びその周知について、次のように要望いたします。

                  記

1 加害者と一緒に飲食した後に意識を失い、気がついたらレイプされていたという被害の訴えがあった場合には、
薬物の混入を確認するため、被害者の同意を得た上で、速やかに医療機関において採血、尿の採取を行った上で、
薬物の有無の検査を行うこと。
その際には、地域の性暴力救援センター・ワンストップ支援センターと連絡を取り合うことが望ましい。

2 被害者が意識があるように行動していても被害時の記憶が欠落している「薬剤性の健忘」(一過性前向健忘)について、
性犯罪捜査に携わるすべての捜査関係者に周知すること

3 上記の訴えを行う被害者に対して二次被害を加えないように配慮した対応をすること

                                         以上

【参考】
「医薬品の不法使用―Drug Facilitated sexual Assault(DFSA)に使用されるデートレイプドラッグ(date rape drug)についてー 清水恵子(旭川医科大学法医学講座)など 犯罪学雑誌 第82巻 第2号(2016)より

この薬物の作用(薬理作用および副作用)の理解は、犯罪立証および公判維持において、極めて重要である。すなわち、公判時に被疑者弁護側から「合意の上である」と主張される被害者の被害時の状況は、薬物影響下におけるこれら薬剤のもつ作用(薬理作用及び副作用)によって、説明することができるのである。眠くなるのは、催眠作用であり、危険に対する反応(危機回避行動)が普段よりも鈍くなるのは、抗不安作用によるものであり、普段と異なり体に力が入らず動きが鈍くなるのは、筋弛緩作用によるものである。薬が作用した後に出来事の記憶がないのは、前向健忘によるものである。
 4.薬剤性の健忘
司法側が最も理解し難い点は、被害者に事件時の記憶がないかあいまいであることである。前向健忘とは、服用後、体内に吸収されて薬理作用が発現してから一定期間の出来事の記憶がない(思い出せない)というものである。薬理作用が発現するまでの記憶は通常通りである。服用後しばらく(数時間)たつと、記憶能力は元に戻り、永続的記憶障害である認知症とは異なる。飲酒による泥酔で記憶がないという状態は、前向健忘である。飲酒による泥酔状態は、第三者から気づかれやすい。しかし、睡眠導入剤等による影響下で服用者に前向健忘が生じている状態では、第三者から気づかれないこともある。
(中略)
1)海外における神経科学者3名の前向健忘体験
(中略)
 健忘期間中の3名の行動は、以下のとおりである。症例1:同じ学会出席予定の妻と同僚達(神経科学者)と共に、入国税関手続き、市内観光、食事と会話(研究打ち合わせを含む)等のあと、ホテルで宿泊したが、本人にはその間の記憶が全くない。一方、同行者たちの目には、普段と変わった様子はなく、異常には全く気がつかなかった。症例2:入国税関手続き、飛行機乗り換え、ホテルへのチェックイン、現地研究者との研究打ち合わせと食事をしているが、後から思い出そうとしても本人に全く記憶がない。研究打ち合わせをしていた現地研究者は、異常に全く気がつかなかった。症例3:到着した飛行場で、本国から旅行カバンが到着しなかったため、入国税関手続きや両替を済ませてから、航空会社の遺失物取扱い係へ行ったところ、すでに本人の筆跡で遺失物届出書類が提出されていた。しかし、本人には、遺失物届け出を行った記憶がない。その後、列車で最終目的地に向かった。後に、空港到着後の自分の行動を思い出そうとしたが、思い出すことができなかった。空港での両替は、正確になされていたという。



2017年7月1日 性暴力禁止法をつくろうネットワーク・シンポジウム    
子どもへの性暴力と刑法改正―これでいいのか?今後の課題― 報告


大変遅くなりましたが、シンポジウムの報告です。

2017年6月の国会で刑法性犯罪の110年ぶりの大幅改正が実現した。7月1日に文京区男女平等センターでWAN基金の助成事業として開催したシンポジウムでは、60名近くの参加があり、特に子どもへの性暴力に注目して刑法改正をどのようにとらえたらいいのか考える場になった。

東小雪さんのお話 
LGBTアクティビストで性虐待当事者である東さんは、ご自分の実父からの被害について語ってくださった。ふだん他のテーマで話すときにはもっとスラスラ言葉が出てくるのに、性虐待の体験について語ろうとすると言葉が出てこなくなってしまう、と話されたことが印象に残った。性虐待の深刻な影響が様々起こる中で、被害児が被害を否認するということも多く、すぐに被害を訴えることが難しいことを改めて訴えられた。今回の改正のポイントとして性別が問われなくなったことは大きいが、暴行・脅迫要件が残ったこと、監護者に兄、祖父などが含まれなかったことなど問題点も大きいと指摘された。また、「被害に遭った人はなにも悪くない」「必ず元気になって生きることができる」などの力強いメッセージも伝えられた。アンケートでも、性虐待は客観的な証拠が残らないように行われることも多く、改正された法でも性虐待の被害者が実質的に救われるとは思えないという感想もあった。参加者には東さんの話を聞きたくて参加されたという被害当事者の方もいて、今回の刑法改正までにこうした当事者(強姦)の名のり出ることによって気運ができたと思う。性暴力被害者がもっと名のり出られる社会をつくらなければならないという声も多かった。

周藤由美子の話
 京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター京都SARAの活動から、性暴力被害を刑事事件化する際のハードルの高さなどを報告し、刑法が改正されてどのような効果があるかについては限定的ではないかという指摘を行った。付帯決議で提案されている実態調査やそれに基づく研修などの実現や3年後の見直しに向けて働きかけていくことを提案した。質疑応答では、男性被害者に対応する支援者のジェンダーについての質問もあり、今後の課題と思われた。

谷田川知恵さんのお話 
ジェンダー法研究者の谷田川さんは、刑法改正の全体的評価として、表面的であり、本質的ではないと指摘。1970年代からの欧米で強姦法が改革されたのとは異なり、世界の潮流から40年遅れた今回の改正の根底に平等実現・差別撤廃への意思はうかがえない。それができなかったのは、立法・司法関係者が強姦罪に潜む差別・実質的不平等を認めていないからである。今回の改正によって、むしろ性別中立化による形式的平等実現で、「もはや差別はない」となるおそれもあるということだった。アンケートでも、モヤモヤしていたことを明確にしていただいた。ジェンダーの視点、本質がわかってもらえるよう働きかけることが本当に大切だと思いました、などの感想があった。

シンポジウムは、性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表の戒能民江のコーディネイトにより、パネリストの発言と共に質疑応答の時間もたくさんとられ、今回の改正のポイントや今後の課題などについてよく理解できたという感想も多かった。引き続き“子どもへの性暴力”をテーマに刑法改正の課題について取り上げてほしいという要望も多く、ネットワークでは、今後も刑法性犯罪改正、性暴力被害者支援法の実現に向けて引き続き学習会・シンポジウムなどの開催を企画する予定である。
2017年7月1日 性暴力禁止法をつくろうネットワーク・シンポジウム    
子どもへの性暴力と刑法改正―これでいいのか?今後の課題― 報告


大変遅くなりましたがシンポジウムの報告です。

2017年6月の国会で刑法性犯罪の110年ぶりの大幅改正が実現した。7月1日に文京区男女平等センターでWAN基金の助成事業として開催したシンポジウムでは、60名近くの参加があり、特に子どもへの性暴力に注目して刑法改正をどのようにとらえたらいいのか考える場になった。

東小雪さんのお話 
LGBTアクティビストで性虐待当事者である東さんは、ご自分の実父からの被害について語ってくださった。ふだん他のテーマで話すときにはもっとスラスラ言葉が出てくるのに、性虐待の体験について語ろうとすると言葉が出てこなくなってしまう、と話されたことが印象に残った。性虐待の深刻な影響が様々起こる中で、被害児が被害を否認するということも多く、すぐに被害を訴えることが難しいことを改めて訴えられた。今回の改正のポイントとして性別が問われなくなったことは大きいが、暴行・脅迫要件が残ったこと、監護者に兄、祖父などが含まれなかったことなど問題点も大きいと指摘された。また、「被害に遭った人はなにも悪くない」「必ず元気になって生きることができる」などの力強いメッセージも伝えられた。アンケートでも、性虐待は客観的な証拠が残らないように行われることも多く、改正された法でも性虐待の被害者が実質的に救われるとは思えないという感想もあった。参加者には東さんの話を聞きたくて参加されたという被害当事者の方もいて、今回の刑法改正までにこうした当事者(強姦)の名のり出ることによって気運ができたと思う。性暴力被害者がもっと名のり出られる社会をつくらなければならないという声も多かった。

周藤由美子の話
 京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター京都SARAの活動から、性暴力被害を刑事事件化する際のハードルの高さなどを報告し、刑法が改正されてどのような効果があるかについては限定的ではないかという指摘を行った。付帯決議で提案されている実態調査やそれに基づく研修などの実現や3年後の見直しに向けて働きかけていくことを提案した。質疑応答では、男性被害者に対応する支援者のジェンダーについての質問もあり、今後の課題と思われた。

谷田川知恵さんのお話 
ジェンダー法研究者の谷田川さんは、刑法改正の全体的評価として、表面的であり、本質的ではないと指摘。1970年代からの欧米で強姦法が改革されたのとは異なり、世界の潮流から40年遅れた今回の改正の根底に平等実現・差別撤廃への意思はうかがえない。それができなかったのは、立法・司法関係者が強姦罪に潜む差別・実質的不平等を認めていないからである。今回の改正によって、むしろ性別中立化による形式的平等実現で、「もはや差別はない」となるおそれもあるということだった。アンケートでも、モヤモヤしていたことを明確にしていただいた。ジェンダーの視点、本質がわかってもらえるよう働きかけることが本当に大切だと思いました、などの感想があった。

シンポジウムは、性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表の戒能民江のコーディネイトにより、パネリストの発言と共に質疑応答の時間もたくさんとられ、今回の改正のポイントや今後の課題などについてよく理解できたという感想も多かった。引き続き“子どもへの性暴力”をテーマに刑法改正の課題について取り上げてほしいという要望も多く、ネットワークでは、今後も刑法性犯罪改正、性暴力被害者支援法の実現に向けて引き続き学習会・シンポジウムなどの開催を企画する予定である。


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性暴力禁止法をつくろうネットワークシンポジウム
子どもへの性虐待と刑法改正
      ―これでいいのか?今後の課題―


今国会で110年ぶりに刑法の性犯罪規定が改正されました。

 今回の刑法改正では、性差の解消や親告罪の撤廃とともに、
監護者わいせつ罪、監護者性交等罪などが新設され、18歳未満の被害者が訴えやすくなり、
近親者から性暴力被害にあってもなかなか訴えられない被害者の救援が一歩進むことになります。

ただし、対象範囲が狭く、学校の教師や雇用関係などにおける被害については課題として残されたままです。

 また、強姦罪の「暴行脅迫」要件の緩和や「性交同意年齢」の引き上げなど、
改正されなかった点も多く、引き続き改正を求めていかなければなりません。

 本シンポジウムでは、「子どもへの性虐待」に焦点を絞って、刑法改正でどう変わるのか、
今後の課題は何か、みなさんとともに考えていきます。

 7月1日(土)18:00~21:00(17時50分開場)
会場:文京区男女平等センター 研修室A    
参加費:500円(WAN会員は無料)

パネリスト  
東小雪    LGBTアクティビスト
周藤由美子  京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター 京都SARA
谷田川知恵  ジェンダー法研究者
 コーディネーター  
戒能民江 性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表


 ※予約不要、直接会場にお越しください。
問い合わせ:stop.sv@gmail.com

文京区男女平等センター:文京区本郷4-8-3
 https://www.bunkyo-danjo.jp/access.aspx
都営バスー真砂坂上下車徒歩3分 都営地下鉄三田線―春日下車徒歩7分・大江戸線―本郷3丁目下車徒歩5分 東京メトロー丸ノ内線―本郷3丁目下車徒歩5分
     
―本事業は、WAN基金の助成を受けて実施していますー

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