橋下氏の性暴力神話に基づく発言を認めない社会を



橋下大阪市長・日本維新の会共同代表が5月13日以降、「慰安婦制度は必要」「沖縄基地周辺の性犯罪を防止するためには風俗を活用したらよい」という趣旨の発言を行ってきたことは、「慰安婦」のハルモニや沖縄の性暴力被害者のみならず、すべての女性・男性を冒とくする発言であり、強く抗議し、発言の撤回と辞任を求めます。

私たちは性暴力根絶のための包括的な法整備をめざして活動を行っている全国組織です。性暴力被害当事者はもちろんのこと、支援者、研究者、専門家など様々な立場から参加しています。

私たちにとって、橋下氏の発言は性暴力の実態に反した「性暴力神話」に基づくものであり、非常に反社会的なものと考えます。その性暴力神話とは、「性欲はコントロールできないのだからしかたがない」「性暴力を防ぐのは女性の役割である」「(風俗で働く女性など)性暴力を受けてもしかたない女性がいる」などです。

そして、橋下氏がはからずも「本音の発言」「常識的な考え」と言っていたように、日本社会にこうした考えが浸透していることを私たちは危惧します。なぜならば、日本には「どんなことがあっても性暴力は許されない」と宣言した法律がないからです。たとえば司法では、刑法強姦罪は厳しい暴行・脅迫要件によって、たとえ被害者が嫌がっていたことは明らかでも、誰かに助けを求めたり、十分抵抗したという証拠がなければ、強姦とは認められない運用が行われています。橋下氏の「慰安婦」のハルモニの証言があったとしても、暴行・脅迫をもって強制的に慰安婦にした公的な証拠はないという発言には、共通した考え方があるのではないでしょうか。

実際、一般市民の中にも「戦争中だったらしかたないのではないか」「自分の娘が被害にあうくらいならプロに任せた方がいい」というような反応が少なからず聞かれることも現実です。しかし、性欲をコントロールするのが人間であり、そういった人間性を奪う戦争こそ許してはいけないのです。そして、どんなことがあってもどんな人に対しても性暴力は許されないのだということをはっきりと社会が示すことでしか、性暴力をなくすことはできないのです。自治体の首長であり、政党の代表という、社会の意識を高めるべき立場の人こそ、こういった性暴力に関する正しい認識を持ち、社会に蔓延する間違った性暴力神話を正していく役割を果たさなければならないのではないでしょうか。

あらゆる性暴力をなくし、すべての人の人権が尊重され、安心で安全な社会をつくっていくために、私たちは橋下氏の一連の性暴力神話に基づく発言を決して許すことはできません。



2013年5月20日

性暴力禁止法をつくろうネットワーク

共同代表 戒能民江、周藤由美子
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【2013/05/20 14:22】 | 声明・提言
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