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起訴状への性犯罪被害者の匿名記載が議論されたことを受けて、以下の要望書を提出しました。
2013年9月18日

最高裁判所長官
竹崎 博允 様

性暴力禁止法をつくろうネットワーク
共同代表 戒能民江/周藤由美子


刑事司法における性犯罪被害者の個人情報保護を求める要望書


私たちは、長年「女性に対する暴力の根絶」を目指す活動に取り組み、性暴力の被害女性・子どもの支援にあたってきた個人や団体が参加する全国的なネットワークです。

この7月に、児童に対する強制わいせつ事件の起訴状で、東京地検が被害児童の氏名を匿名で記載したことをめぐって、地裁と地検で協議が行われたことを報道によって知りました。

そして、その後の9月11日の初公判で、地検が児童は匿名のまま、代わりに母親の氏名と続き柄を追記する修正を行い、地裁も修正を認めたということです。

さらに、それに関連して、7月19日付けの読売新聞に、「最高裁の司法研修所は近く、匿名問題における事例を集め、検証を行う。その結果を各裁判官の判断に役立てることが肝要だ」と報道されました。
今回のように刑事手続きにおける性犯罪被害者の匿名性が問題になってきたのは、2012年11月に神奈川県逗子市で起きたストーカー殺人事件において、警察が逮捕状に記された被害者の個人情報を読み上げたために被害者の転居先を調べられてしまったことが大きなきっかけと言われています。

その後、神戸地検姫路支部で、電車内で女性につきまとったとしてストーカー規制法違反などで男を起訴した際、女性の氏名をカタカナで表記したり、別の地検では、被害女性の旧姓を記載したケースもあったという報道がありました。また、神戸地検明石支部が面識のない帰宅途中の女性に対する強制わいせつ未遂事件で、起訴状に記載する被害者の情報を「性別」と「年齢」だけにとどめ、被告側が記載方法を争わなかったことからそのまま裁判が進み、2013年4月に有罪判決が言い渡されたことも報道されるなど、匿名での運用が進んでいる実態もあります。

被告人の弁護人が主張する「防御権」も認められる必要があるでしょうが、必ずしも被害者の実名や住所が明らかにされる必要がない場合もあります。私たちは、性暴力被害女性・子どもが安心して被害申告できるように柔軟な対応を進められることを求めます。以下に性暴力被害女性や子どもにとって、起訴状での匿名が必要である理由をまとめます。

まず、訴えたことに対して被告人から逆恨みされ、つきまとわれたり、報復されることへの恐怖があります。実際に、強かん事件で実刑判決を受けた加害者が出所後に被害者を殺害した事件も発生しています。性暴力被害者は「できれば被害をなかったことにしたい」「忘れたい」と思って警察に訴えることを躊躇う場合も多いのですが、「加害者が職場の近くをうろつくようになり再度被害にあうのではないかと怖くなって告訴を決意した」という事例もあります。

また、性暴力被害者は自分が被害にあったことを誰にも知られたくないという気持ちが強くあります。被害者保護の観点から法廷では被害者の名前を呼ばないなどの配慮は行われています。しかし、裁判員裁判の場合には、裁判員に起訴状が見られてしまうこともあり得ます。性暴力被害者がこれから知り合いになるかもしれない人に自分の名前を知られてしまう可能性があることは非常に不安であると思われます。

性暴力裁判において、被告人弁護人からしつこく示談を強要されて、それによって精神的な苦痛を受ける被害者は少なくありません。弁護士のサイトで加害者の立場に立って問題解決することを謳ったものもあり、行き過ぎた加害者弁護は被害者に対する二次被害の最たるものと言えます。こうした被告人弁護人からのしつこい示談強要を防ぐことが被害者保護につながると考えられます。

以上の理由で、状況によって起訴状での被害者の匿名を認めるなど、被害者の個人情報を保護する措置の必要性について、法曹関係者の理解が必要です。



1. 性暴力・性犯罪事件においては、原則として起訴状における被害者の記載に関して匿名を認めること

2. 性暴力・性犯罪被害者が刑事司法において二次被害を受けずに、安全に、安心して被害申告ができるための個人情報保護策を講じること。

3. 上記の保護策を実施するにあたって、性暴力・性犯罪被害の実態を把握するための調査研究を行うこと。


以上


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