皆さま

2017年9月29日に「被害当事者を孤立させない」院内集会が開催され
200名以上の参加がありました。

当日は検察審査会で準強姦について不起訴相当という信じられない判断が下された詩織さんや
代理人弁護士、警察でのすさまじい二次被害を告発された被害当事者、
東京や大阪の性暴力救援センターで相談に携わっている支援者、
刑法性犯罪改正にもご尽力された角田由紀子弁護士などが発言されました。
(詩織さんの発言の後の拍手はしばらく鳴りやみませんでした)。

この日に、集会実行委員会として警察に緊急の要望書を提出することが提案されました。

これは被害者や性暴力救援センター、ワンストップ支援センターなど相談にあたっている支援者にとって本当に切実な問題なのです。

是非、この問題に広く関心を持っていただくためにも、情報を拡散してください。

以下が要望書です。

******

警察庁長官 坂口 正芳 様
 
    「性暴力被害当事者を孤立させない」院内集会実行委員会

 薬物を使った性暴力への適切な対応を求める緊急要望書
                              


日頃より男女平等推進にかかわる諸問題について御尽力をいただき、
心より感謝申し上げます。
私たちは女性や子どもたちへの暴力を根絶する法制度整備を
当事者の声を反映させて進めることを求めて、
実行委員会を立ち上げ院内集会を重ねてまいりました。

6月の国会では110年ぶりの刑法性犯罪の大幅な改正が成立しました。
しかし、「暴行・脅迫」要件が残されたままであるなど、
3年後の改正に向けて更なる検討が必要です。
さらに附帯決議にあるように、性犯罪に係る刑事事件の捜査及び
公判の過程において、二次被害を防止し、適切に証拠を保全することは、
すぐにでも実現されなければなりません。

全国の性暴力救援センター、ワンストップ支援センターなどには、
「飲食物に薬物を入れられ意識を失い、
気がついた時には加害者からレイプされていた」という
薬物を使った性暴力(レイプドラッグの使用)を疑われる相談事例が
多数寄せられています。

その中には、被害直後に警察や病院に行き、
薬物の検査を申し入れたにも関わらず、拒否されたという例もあります。
また、情報提供が不十分であったために、
薬物の検査を早期に行うことができず、
薬物の検出ができなかった事例も少なくありません。

「薬剤性の健忘」(一過性前向健忘)と言われる状態が知られていない
ため、防犯ビデオの映像では自分の足で歩いてホテルに入っているが、
その時の記憶が全くない事例が、合意の上の性行為であったと判断され、
事件化されないことも大きな問題です。

そこで、薬物を使った性暴力事件について、悪質な加害者を適正に処罰し、
被害者を救済するため、性犯罪の初動捜査におけるルール作り及びその周知について、次のように要望いたします。

                  記

1 加害者と一緒に飲食した後に意識を失い、気がついたらレイプされていたという被害の訴えがあった場合には、
薬物の混入を確認するため、被害者の同意を得た上で、速やかに医療機関において採血、尿の採取を行った上で、
薬物の有無の検査を行うこと。
その際には、地域の性暴力救援センター・ワンストップ支援センターと連絡を取り合うことが望ましい。

2 被害者が意識があるように行動していても被害時の記憶が欠落している「薬剤性の健忘」(一過性前向健忘)について、
性犯罪捜査に携わるすべての捜査関係者に周知すること

3 上記の訴えを行う被害者に対して二次被害を加えないように配慮した対応をすること

                                         以上

【参考】
「医薬品の不法使用―Drug Facilitated sexual Assault(DFSA)に使用されるデートレイプドラッグ(date rape drug)についてー 清水恵子(旭川医科大学法医学講座)など 犯罪学雑誌 第82巻 第2号(2016)より

この薬物の作用(薬理作用および副作用)の理解は、犯罪立証および公判維持において、極めて重要である。すなわち、公判時に被疑者弁護側から「合意の上である」と主張される被害者の被害時の状況は、薬物影響下におけるこれら薬剤のもつ作用(薬理作用及び副作用)によって、説明することができるのである。眠くなるのは、催眠作用であり、危険に対する反応(危機回避行動)が普段よりも鈍くなるのは、抗不安作用によるものであり、普段と異なり体に力が入らず動きが鈍くなるのは、筋弛緩作用によるものである。薬が作用した後に出来事の記憶がないのは、前向健忘によるものである。
 4.薬剤性の健忘
司法側が最も理解し難い点は、被害者に事件時の記憶がないかあいまいであることである。前向健忘とは、服用後、体内に吸収されて薬理作用が発現してから一定期間の出来事の記憶がない(思い出せない)というものである。薬理作用が発現するまでの記憶は通常通りである。服用後しばらく(数時間)たつと、記憶能力は元に戻り、永続的記憶障害である認知症とは異なる。飲酒による泥酔で記憶がないという状態は、前向健忘である。飲酒による泥酔状態は、第三者から気づかれやすい。しかし、睡眠導入剤等による影響下で服用者に前向健忘が生じている状態では、第三者から気づかれないこともある。
(中略)
1)海外における神経科学者3名の前向健忘体験
(中略)
 健忘期間中の3名の行動は、以下のとおりである。症例1:同じ学会出席予定の妻と同僚達(神経科学者)と共に、入国税関手続き、市内観光、食事と会話(研究打ち合わせを含む)等のあと、ホテルで宿泊したが、本人にはその間の記憶が全くない。一方、同行者たちの目には、普段と変わった様子はなく、異常には全く気がつかなかった。症例2:入国税関手続き、飛行機乗り換え、ホテルへのチェックイン、現地研究者との研究打ち合わせと食事をしているが、後から思い出そうとしても本人に全く記憶がない。研究打ち合わせをしていた現地研究者は、異常に全く気がつかなかった。症例3:到着した飛行場で、本国から旅行カバンが到着しなかったため、入国税関手続きや両替を済ませてから、航空会社の遺失物取扱い係へ行ったところ、すでに本人の筆跡で遺失物届出書類が提出されていた。しかし、本人には、遺失物届け出を行った記憶がない。その後、列車で最終目的地に向かった。後に、空港到着後の自分の行動を思い出そうとしたが、思い出すことができなかった。空港での両替は、正確になされていたという。


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